結婚式ではとても重要な役割を果たす音楽ですが、結婚式では自由に好きなように流すことができないってご存じですか?
簡単に言うと著作権が絡んでいるからというのが理由なんですが、知らずにまたは故意に勝手に使用してしまうと違法行為になりかねませんので注意が必要です。

違法行為と聞くと何だか怖そう…
とはいえルールを守って使用すれば大丈夫ですし、せっかくの結婚式ですからしっかりと内容を把握して安心して結婚式に臨むためにも今回は結婚式の時に注意したい音楽著作権について紹介したいと思います。
なぜ結婚式では自由に音楽を使えない?


まず音楽には著作権に関係する様々な権利があり、著作権法に抵触するかどうかの判断基準はこのとおりです。
私的利用か、営利利用か



いきなり訳わからんぞ
詳しく解説します。
- 私的利用例:自分や家族が利用するためにCDをコピーした
- 営利利用例:入場料を取って音楽イベントを開催した
これを見ると「結婚式は自分たちが利用するためだから私的利用では?」と思いますよね。
しかし「BGM演出で場を盛り上げる」行為が、婚礼事業者が提供するサービスとして営利利用として判断されます。
またこのようなことも結婚式が営利目的のイベントとしてみなされているそうです。
- 不特定多数の人が参加している
- 入場料(ご祝儀)を受け取っている
こちらに関してはかなり強引な解釈ではありますが、現状結婚式での音楽の利用は著作権者の使用の許諾を得る必要があります。
著作権と著作隣接権
結婚式で使用される音楽については著作権と著作隣接権の申請が必要です。
図のように著作権・著作隣接権双方の許諾があって初めて結婚式で音楽を使用できます。
ちなみに、無断で使用すると罰則がありますのでご注意ください。
著作権侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金またはその両方、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。また、法人等が著作権等を侵害した場合は、3億円以下の罰金が定められています。
引用元:一般社団法人 音楽特定利用促進機構
演奏権と複製権
結婚式で楽曲を使用する方法として、「演奏利用」「複製利用」の二つがあります。
- 演奏利用:会場などでその曲を演奏したり流す、歌うなどの利用をすること
- 複製利用:好きな曲を集めたCD-Rやエンドロールなどに曲を収録すること
話が難しくなりますが、著作権や著作隣接権は「支分権」という楽曲の利用方法ごとに権利が定められています。
演奏利用する際に許諾が必要な「演奏権」や、複製利用する際に許諾が必要となる「複製権」などの支分権があり、またその他の支分権によって著作権や著作隣接権は構成されているのです。



う~ん、難しすぎて全然わかりません…
簡単に言うと、結婚式で楽曲を使用する際は下記の二つの許可を取る必要があるということです。
- 挙式や披露宴で好きな曲を流す=演奏権
- エンドロールなどで好きな曲を収録したり、記録用映像で当日を撮影する=複製権
演奏権の許可を取るには
まず、確認してほしいことが結婚式場がJASRACと包括契約を交わしているかどうかです。
基本的にどの式場も交わしているはずですが、契約を結んでいることによって好きな曲を流すことができ、手続きを行う必要もありません。
なお、演奏権は音楽を流す権利のみの契約なのでCD-R等で曲を流す場合は「複製権」の手続きが必要となります。
複製権の許可を取るには
以下の行為に関しては複製権の許諾を取る必要がありますが、こちらは式場とJASRAC間の契約に含まれていないため手続きが必要です。
- 結婚式や披露宴で流すBGM用にお気に入りの楽曲を集めて一枚のCDに収録する
- プロフィールムービーなど、当日会場で上映する映像作品に音楽を利用する
- 結婚式を撮影した記録映像に、会場で使用したBGMの楽曲とともにDVDに収録する
上記に関しては利用の都度、つまり使用した楽曲分だけ申請が必要になり、複製権についてはJASRACとは別にレコード会社にも許諾を得ないといけません。



全部自分で手配するなんて無理だよ~
と、不安になってしまいますよね。
でも全ての手続きを新郎新婦がやる必要はなく、この手続きを代行してくれる団体があるのです。
ISUM(アイサム・音楽特定利用促進機構 )
ISUMは、著作権と著作隣接権の「複製権」の手続きを一括で行うことが可能ですが、ISUMと契約している結婚式場や映像制作会社など「ブライダル事業者のみ」申請が可能となります。
上記の場合だと2と3のケースにおいて撮影を行う事業者がISUMに申請手続きを行いますが、ISUMの「楽曲データベース」に登録されている曲しか申請することができません。
このデータベースに登録登録のない音楽は、権利者の複製権の許可が得られていない曲となり、ISUMを通しての申請ができないのです。
ISUMに登録のない音楽は「楽曲リクエスト」を行う必要がありますが、登録曲になるまで最低一か月は掛かってしまいます。
その問題を回避する方法として、自作の映像(生い立ちDVDや余興DVD)を持ち込む場合無音で作成し当日は原盤のCDを同時再生するという方法があります。
この方法であれば複製利用はしていないため持ち込んだCDの演奏利用のみとなり、結婚式場がJASRACと包括契約を結んでいれば申請自体が不要になります。
しかし、同時再生と言っても少しのタイミングで映像と音楽がズレてしまう可能性もあるのでおすすめとは言えません。


まとめ
いかがでしたでしょうか。
現状結婚式を挙げる方は下記のケースに該当することがほとんどです。
結婚式や披露宴で流すBGM用にお気に入りの楽曲を集めて一枚のCDに収録する →1曲ずつ申請する(申請料は別途発生する) →式場がJASRACと包括契約をしている場合は当日は原盤CDを入れ替えながら流す |
プロフィールムービーなど、当日会場で上映する映像作品に音楽を利用する →事業者からISUMに申請を行い上映、ISUMに登録のない曲は「楽曲リクエスト」を行う →自作の場合は無音の映像に原盤CDを同時再生する |
結婚式を撮影した記録映像に、会場で使用したBGMの楽曲とともにDVDに収録する → 撮影・制作を行う事業者からISUMに申請を行う |
たかが音楽を流すといえど、著作権関係の細かい決まりがあることは事実なので安心して結婚式を行うためにも、参考にしていただければ幸いです。
それでは素敵な結婚式を♪

